電光石火の決着
2026年5月30日、中国・マカオのギャラクシーアリーナ。
「UFCファイトナイト:ソン vs フィゲイレード」のメインカードで、
元RIZINバンタム級王者・朝倉海がキャメロン・スモザーマン(米国)と対戦した。
試合開始からキレのある蹴りで流れを作ると、右フックで相手の膝をグラつかせる。
ケージに追い込むや間髪を入れずラッシュをかけ、最後は左フックで完璧にスモザーマンをマットに沈めた。
「減量も楽。たくさん戦ってきた階級なので良い準備ができている」
── 試合前の朝倉海。バンタム級への転向が、すべてを変えた。
試合時間わずか110秒。それは単なる勝利ではなく、2連敗という苦難を乗り越えた魂の爆発だった。
苦しかったUFCへの道
2024年12月 UFCデビュー戦でベルトを賭けて、フライ級王者パントージャに挑戦。
リアネイキッドチョークで一本負け。
2025年8月 次は必ず勝てると思っていたが、
2ティム・エリオット戦でもギロチンチョークで一本負け。
相手はベテランということもあったのか?
連敗という厳しい現実を突きつけられる。
2026年5月 本来の主戦場・バンタム級に転向。
減量していたため、9ヶ月かけてバンタムの体を作っての復帰戦。
ついに悲願のUFC初勝利を達成。
「UFCのレベルの高さを実感している。少しのミスが許されない。
これが、インタビューの時の涙💧だと思いました。
今回負けたら、UFCでの参戦はできなくなってしまう。
”ジャン斎藤”が言うには、きっとKOで勝たなければ、
UFCの道がなくなったのではないか?という見解を示していた。
でもこの2戦を経験して今はUFCのスタイルにアジャストできている」
── 苦労があったからこそ、この勝利の重みは深い。
新コーチ・金原正徳の存在
今回の大きな変化のひとつが、UFC参戦経験を持つ金原正徳氏のヘッドコーチ就任だ。
竹浦正起コーチ(寝技)、小倉將裕コーチ(打撃)との新トリオで万全の準備を整えた。
朝倉自身も「新しくヘッドコーチが加わり、そのコーチによる指導が一番大きい。練習方法もトレーニングパートナーも変えてきた」と変化の大きさを強調していた。
金原コーチはご自身のYouTubeにて「緊張した」とセコンドとしての心境を率直に打ち明けていた。
コーチもまた、この一戦に全力を懸けていた。
日本から駆けつけた家族と仲間たち
この大一番に、日本から大切な人たちがマカオへと集結した。
今回の試合、兄・未来はセコンドとしてではなく、観客として弟を見守った。
そして試合終了後、退場する朝倉海に駆け寄った兄・未来とのハグは感動的だった。
あんなに笑顔で会話をするのは初めてのような気がする。
これから先へ
UFCという世界最高峰の舞台で、ついに掴んだ初白星。朝倉海はまだ32歳。
バンタム級でのUFC王座挑戦という夢に向けて、今日から新たな物語が始まる。
「今回の結果で見返していこうと思っています」
── 静かにしかし力強く語っていた朝倉海の言葉通り、マカオの夜は、その序章に過ぎない。
